瞑想とランナーズハイ、似ているようでまったく違う?
「瞑想すると気持ちがいい」と聞いたことはありませんか?
それを聞いて、「それってマラソンで感じる“ランナーズハイ”と同じ?」と感じた方もいるかもしれません。
確かに、どちらも「スッキリして、気持ちがいい」と表現されます。
しかし、体の中で起きている現象は、実はまったく異なります。
本記事では、「瞑想」と「ランナーズハイ」の違いと共通点を、自律神経やホルモンの視点から解説します。
その違いを知ることで、「なぜ瞑想が気持ち良いのか?」の本質にも近づくはずです。
ランナーズハイとは?アドレナリンとエンドルフィンの快感
ランナーズハイとは、長時間の運動、特にランニングを続けたときに突然訪れる「恍惚感」「無敵感」のこと。
つらさを超えたあとに、心が解き放たれたような感覚を得られる現象です。
身体の中で起きているのは?
アドレナリンの分泌:交感神経が活性化して、戦闘モードになる
エンドルフィン:脳内麻薬と呼ばれ、痛みを抑え、幸福感を生み出す
これらのホルモンが強い興奮状態をつくり出し、脳が“気持ちいい”と錯覚することで、ランナーズハイが起きます。
一方、瞑想はどう違う?
瞑想は、真逆です。
呼吸を整え、意識を内側に向けることで、心身がリラックスモード(副交感神経優位)になります。
身体の中で起きているのは?
副交感神経の活性化:心拍が落ち着き、呼吸がゆっくりになる
セロトニンの分泌:安心感や安定を生み出す“幸せホルモン”
メラトニン・オキシトシンの生成:深い癒しや信頼感に関与
つまり、瞑想では「戦うモード」ではなく「回復と癒しのモード」になっているのです。
興奮とリラックス、2つの“快感の方向性”
比較項目 | ランナーズハイ | 瞑想 |
---|---|---|
主な神経系 | 交感神経優位 | 副交感神経優位 |
ホルモン | アドレナリン・エンドルフィン | セロトニン・メラトニン・オキシトシン |
快感の質 | 興奮による“高揚感” | 落ち着きによる“安心感” |
体の状態 | 活動モード・覚醒 | 回復モード・脱力 |
心の状態 | 「やってやるぞ!」 | 「そのままでいい」 |
どちらも「気持ちがいい」のですが、質がまったく違うのです。
でも共通する点もある。「今、この瞬間」にいること
違うといっても、「まったく無関係」ではありません。
実は、ランナーズハイ中の状態と、瞑想中の状態には「ある共通点」があります。
それは、「今この瞬間に没入している」ということ。
- ランナーズハイでは、体と一体になり、頭の中が空になる
- 瞑想では、呼吸と感覚に意識を集中し、思考を手放していく
どちらも、「マインドフルネス=今ここへの集中」が起きている状態なのです。
快感を知ると、人は自ら続けたくなる
「瞑想をやらなきゃ」と思って続かない人も多いですが、
一度でもその「気持ちよさ」を体験すると、
人は“やらないと勿体ない”という感覚が生まれます。
- リラックスして、呼吸が整うあの感覚
- 頭がスーッと静かになるあの瞬間
- 周囲の音や感覚がクリアに感じられる気づき
この体験を知ると、無理に「続けよう」としなくても、
「自分からやりたくなる」状態になります。
まとめ:どちらも人間にとって必要な“快”のかたち
瞑想とランナーズハイは、まったく違うメカニズムで起きています。
でも、どちらも「人間にとって快い状態」であることに違いはありません。
- 外に向かっていくエネルギーの快感(ランナーズハイ)
- 内側に戻っていく穏やかな快感(瞑想)
どちらも知っている人は、
「自分の心と体の声に敏感な人」なのかもしれません。
瞑想を続けることで、「何もしなくても、気持ちがいい時間」が持てるようになります。
それは、人生にとって大きな“得”であり、贅沢です。
次に瞑想するときは、ぜひ「気持ちよさ」を感じることを目標にしてみてください。
それが、あなたの新しい習慣になる最初の一歩になります。