呼吸法とその効果の代表例
瞑想と呼吸法は、切っても切れない関係にあります。呼吸は瞑想の入り口であり、状態を整えるためのスイッチでもあります。けれど呼吸法は瞑想に限らず、さまざまな目的で活用されています。
例えば、
- 深呼吸でリラックス
- 短く一定の呼吸で痛みを軽減(システマやラマーズ法)
- ゆっくりとした呼吸で副交感神経を優位に
このように、「吸う」「吐く」というごく当たり前の行為が、心や体に与える影響はとても大きいのです。
呼吸法には難しい名前がついているものも多いですが、実際はどれも「吸って、吐く」だけ。習得も難しくありません。違いは、吸う時間や吐く時間、リズムや意識の向け方だけです。
呼吸法の名称 | 主な特徴 | 主な効果 | 活用例・背景 |
---|---|---|---|
深呼吸 | ゆっくり吸って、ゆっくり吐く(腹式呼吸が多い) | 副交感神経優位・リラックス・ストレス緩和 | ヨガ・瞑想・睡眠前 |
ラマーズ法 | 陣痛時にリズムよく呼吸する(速く短い→ゆっくり) | 痛みの軽減・パニック抑制 | 出産時の呼吸法 |
システマ呼吸法 | 短く、一定のリズムで「フッ、フッ」と吐く | 痛みの軽減・緊張緩和・精神集中 | ロシア武術「システマ」で使用 |
ボックス呼吸法(Box Breathing) | 4秒吸う→4秒止める→4秒吐く→4秒止める | 集中力UP・不安軽減・自律神経調整 | 米軍・アスリートが採用 |
4-7-8呼吸法 | 4秒吸う→7秒止める→8秒かけて吐く | 入眠促進・不安緩和・心拍安定 | 睡眠導入・ストレス対策 |
カパーラバーティ(火の呼吸) | 素早く短く息を吐く(強制的な腹筋使用) | 脳活性・体内浄化・集中力UP | ヨガ(クンダリーニ系)で使用 |
ナーディーショーダナ(片鼻呼吸) | 左右の鼻を交互に使って呼吸 | 自律神経のバランス調整・心の安定 | ヨガや瞑想の前 |
ウジャイ呼吸 | 喉を狭めて「海のような音」を立てながら呼吸 | 集中力・体温上昇・心を静める | ヨガ(特にアシュタンガ) |
トレンス呼吸法(Trans Breathing) | 呼吸を繋げて深くリズミカルに(リバース呼吸と類似) | トラウマの開放・意識拡張 | セラピーやヒーリング系で使用 |
口すぼめ呼吸(Pursed Lip Breathing) | 息をゆっくり、口をすぼめて吐く | 呼吸困難の軽減・肺活量維持 | COPD(慢性肺疾患)などのリハビリ |
呼気延長呼吸法 | 吸うよりも吐く時間を長く | 副交感神経活性・心拍安定 | 緊張緩和・慢性ストレスに有効 |
では、瞑想でよく使われる呼吸法とは?
それは「呼気延長呼吸法」と呼ばれるスタイルで、吸う時間よりも吐く時間を長くする呼吸が基本になります。
たとえば「4秒吸って、8秒吐く」といった形。
このように吐く息を長くすることで、副交感神経が優位になり、心身が自然とリラックス状態へと導かれるのです。
この効果は、医学的・科学的にも裏付けられています。
副交感神経が優位になると、
- 緊張がほぐれる
- 心拍数が落ち着く
- 睡眠の質が高まる
といった作用が期待でき、スピリチュアルが苦手な方でも納得できる、理にかなった呼吸法だといえるでしょう。
よく「緊張したときに深呼吸する」と言いますが、実はそれもこの呼気延長の一種。
私たちは無意識のうちに、呼吸で自分を落ち着かせようとしているのです。
瞑想に使われる呼吸法:呼気延長呼吸法(1:2呼吸)
瞑想でよく使われる呼吸法は「呼気延長呼吸法」に分類されます。 これは吸う時間よりも吐く時間を長く取る呼吸で、リラックス状態を引き出すために非常に有効です。
- 例:4秒吸って、8秒吐く
- 副交感神経が優位になり、リラックス・癒し・睡眠の質が向上
緊張したときに人が無意識に「ふーっ」と息を吐くのも、体が本能的に呼気延長で落ち着こうとしているからです。
瞑想初心者であれば、まずはこの1:2呼吸(呼気延長呼吸)から始めるのがおすすめです。
マインドフルネスに合う呼吸法とは?
マインドフルネス瞑想は、意識を「今ここ」に向けるトレーニングです。呼吸法を重視する点は同じですが、「必ずしもリラックスすることが目的ではない」という点が通常の瞑想と違います。
そのため、マインドフルネスにおいては呼吸法の選択肢が増えます。
マインドフルネスに合う呼吸法まとめ
- ナチュラルブレス(自然呼吸)
- コントロールせず、ただ呼吸を観察
- 「今」に意識を向ける練習に最適
- 1:1 呼吸(吸う=吐く)
- 4秒吸って4秒吐く
- 中庸・平常心を保つ呼吸
- 呼気延長呼吸(1:2 呼吸)
- 4秒吸って8秒吐く
- リラックス目的のマインドフルネスに◎
- ボックスブリージング(4-4-4-4 呼吸)
- 吸う→止める→吐く→止めるを各4秒
- 集中力UPや感情の安定に効果的
- カウントブレス
- 呼吸に数をつけて数える(1〜10など)
- 雑念に気づくきっかけに
呼吸法と瞑想・マインドフルネスの関係性
マインドフルネスでは、必ずしも呼吸にこだわる必要はありません。たとえば、
- 食事に意識を向ける「イーティング瞑想」
- 歩く動作に集中する「歩行瞑想」
など、意識の焦点を変えることで、マインドフルネスの実践になります。
ただし、呼吸はどんな場面でも「今」を感じやすくするツールです。 まずは1:2呼吸から始めることで、瞑想・マインドフルネスどちらも取り入れやすくなるでしょう。
まとめ:呼吸の力を知ることが、心と体を整える第一歩
呼吸は、私たちが毎日何万回も繰り返している行為です。 その呼吸に少しだけ意識を向けてあげるだけで、
- 緊張がほぐれる
- 集中力が高まる
- 自律神経が整う
など、心と体にさまざまな変化をもたらします。
まずは「吐く息を長くする」「数を数える」など、簡単な呼吸法から始めてみましょう。 あなたに合った呼吸法が、きっと見つかるはずです。